日本門脈圧亢進症学会雑誌
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門脈圧亢進症における大腸静脈瘤の検討
織畑 剛太郎太田 秀二郎児島 邦明深澤 正樹別府 倫兄二川 俊二
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2001 年 7 巻 3 号 p. 152-157

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抄録

門脈圧亢進症157例に対して大腸内視鏡検査を施行したところ, 大腸静脈瘤の発生頻度は157例中30例 (19%) であった.肝外門脈閉塞症 (EHO) で11/21 (52%) ととくに高頻度に認められた.肝硬変症 (LC) 2例, EHO4例, 原発性胆汁性肝硬変症 (PBC) 2例の計8例で大腸静脈瘤破裂をきたした.さらに大腸静脈瘤破裂症例7症例に対して腹部血管造影検査を施行し, 血行動態を検討したところ, 4症例において静脈瘤の部位に一致してarteriovenous malformationを認め, このうちの3症例はEHOであった.破裂症例に対して結腸切除術, 経肛門的静脈瘤結紮術, 内視鏡下硬化療法を施行した.各種治療法の向上により門脈圧亢進症の長期生存の可能性が高まったことから, 本症における大腸静脈瘤の頻度は, ますます増加することと考えられ, 厳重な経過観察と適切な治療法の選択が必要であると考えられた.

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