日本門脈圧亢進症学会雑誌
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門脈血栓症と大腸多発腺腫を合併し特発性門脈圧亢進症が考えられた1例
今尾 泰之勝見 直也山口 康晴大和 太郎両角 克朗安部 孝石田 均高橋 信一
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2001 年 7 巻 4 号 p. 229-232

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抄録
症例は61歳男性.45歳肝障害, 59歳大腸多発ポリープを指摘されている.1998年2月14日吐血のため当院入院.内視鏡検査にて食道および胃噴門部静脈瘤を認めた.血液検査では貧血と血小板減少を示すも肝機能障害は認めず, 肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性であった.腹部CT, MRI, 腹部血管造影にて門脈本幹に約2cmの血栓を認め門脈血栓症と診断した.また, 大腸内視鏡検査では集簇性のポリープを全大腸に認めた.食道胃静脈瘤および大腸多発腺腫に対し4月20日Hassab手術・S状結腸部分切除および背景肝の診断のため肝生検を施行した.肝組織像では門脈域の類円形線維化や異常血行路を認め, 特発性門脈圧亢進症が疑われた.特発性門脈圧亢進症に大腸多発腺腫を合併した貴重な症例と考え報告する.
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