抄録
各種止血処置・早期癌の治療などにアルゴンプラズマ凝固法 (APC) が広く用いられている.今回, われわれはAPCを食道静脈瘤の地固め療法に使用し, その有用性を検討した.当科において地固め療法としてAPCを施行した13症例を対象とした.食道静脈瘤に対しEVLもしくはEISを施行し, APCを地固め療法として施行した.アルゴン流量は2L/min, 高周波出力は60Wとし, 1週間の間隔で計2回施行した.合併症は, 痔痛を5例, 発熱を9例に認めた.治療翌日にはほぼ軽快した.全例で静脈瘤は完全に消失した.再発は1例のみで認められ, F1RC (+) であった.非APC群20例と比較し, 1年累積再発率はAPC群で12.5%, 非APC群で61.0%であり, p=0.03と有意に低い結果となった.食道静脈瘤における地固め療法としてのAPCは, 合併症も少なく安全で有効な治療法と考えられた.