日本門脈圧亢進症学会雑誌
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腸間膜静脈-下大静脈短絡による猪瀬型肝性脳症の2例
中村 晃子迫田 晃郎田畑 峯雄久米村 秀溝内 十郎大迫 政彦内園 均林 完勇佐々木 道郎矢野 武志
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2002 年 8 巻 3 号 p. 228-232

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抄録
症例1は73歳の女性で2回の開腹歴があった.意識消失発作があり, 一過性脳虚血発作と診断されていた.軽度の肝機能障害と高アンモニア血症 (148μg/dl) を認めた.CTと血管造影で回結腸静脈瘤を認め, 門脈大循環短絡による肝性脳症と診断された.外科的に短絡路閉鎖術および静脈瘤切除術を施行した.症例2は74歳の男性で大酒家であった.5年前より一過性脳虚血発作として治療されていたが, 高アンモニア血症 (398μg/dl) を認め, 回結腸静脈より右精巣静脈, 腎静脈を経て下大静脈に入る短絡による肝性脳症と診断された.治療は同時性バルーン閉鎖下塞栓術を施行した.治療後は2例とも門脈血流も求肝性となり, 血中アンモニア値も正常化した.また, Child Aの肝障害 (肝炎ウイルスマーカー陰性) は治療後に改善し, 食道胃静脈瘤の出現, 増悪もみていない.門脈大循環短絡による肝性脳症に対してそれぞれ外科的治療と塞栓術を施行し, 良好な結果を得たので報告する.
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