抄録
内視鏡下クリップ止血法は消化性潰瘍の止血や内視鏡的粘膜切除術 (EMR) 後の創部縫縮など, 内視鏡医が施行する機会が非常に多い手技となっている.胃穹窿部静脈瘤出血3例に対し, 内視鏡下クリップ止血を施行し, 全例, 良好な一次止血が可能であった.緊急内視鏡検査時に活動性の出血あるいはフィブリン栓が胃静脈瘤に認められた場合にクリップ止血を施行した.施行3例における使用クリップの個数は平均2.3個 (範囲1-4) であった.止血後に経過観察目的に施行した内視鏡検査では, 潰瘍等のクリップによる粘膜損傷は認められなかった.CTによる排出路の十分な評価後, 止血後1-2週間後に待機的にバルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO) を行い永久止血を得た.本法は熟練を要する静脈瘤直接穿刺薬剤注入法と比べて, 比較的容易に一次止血が得られ, 止血後の組織障害は少なく, 有効な治療法と考えられた.