日本門脈圧亢進症学会雑誌
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門脈の分枝変異により直接門脈本幹に腫瘍塞栓をきたした肝細胞癌合併肝線維症の一切除例
塙 勝博西田 均石川 晶久竹内 義明米山 啓一郎三田村 圭二
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2002 年 8 巻 4 号 p. 263-268

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抄録
門脈の分枝変異は20%以下に認められる.門脈分枝変異を伴う肝線維症に発症した肝細胞癌 (HCC) に門脈本幹腫瘍栓を形成し, 治療が奏効した症例を報告する.症例は78歳, 男性.1年前にHCCが疑われたが本人の希望にて放置していたところ, 腫瘍の増大をきたし入院した.肝機能はChild-Pughスコア6点, grade A, 肝障害度Aであった.AFPは3090ng/ml, PIVKA-IIは501AU/mlと高値で, HBs抗原およびHCV抗体は陰性であった.画像診断では肝S6のHCCより門脈本幹から独立分岐したP6を介し直接門脈本幹内へ伸展するportal venous tumor thrombus (PVTT) (Vp4) の形成が認められた.PVTT (Vp4) に対し自己凝血塊を用いた選択的リピオドールTAE (selective TAE;S-TAE) を実施し, その後PVTTを含む肝拡大後区域・右尾状葉切除を施行した.切除標本の病理組織学的所見では背景肝は肝線維症で, 癌部は低分化・索状型HCCであり, PVTTの大部分は壊死に陥っていた.術後AFPおよびPIVKA-IIは正常域に速やかに低下し, 術後6カ月現在無再発生存中である.門脈分枝変異を伴う症例では早期にVp4をきたすことがあり, 慎重な経過観察が必要である.Vp4に対するS-TAEはPVTTの制御に加え非担癌領域の代償性肥大も得られることから, 外科的治療の前治療としても有用である.
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