日本門脈圧亢進症学会雑誌
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上・下腸間膜静脈-下大静脈短絡路に対し経皮経肝短絡路塞栓術を行ったアルコール性肝硬変の1例
小林 博之村林 晃二丸山 達志中島 千春石戸 浩之伊吹 重雄
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2002 年 8 巻 4 号 p. 275-279

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抄録
症例は52歳, 女性.肝性脳症で入退院を繰り返しているアルコール性肝硬変患者.食欲低下, 黄疸を主訴に平成14年3月6日入院.血液検査で貧血, 蛋白合成能の低下, 肝胆道系酵素の上昇, 高アンモニア血症を認めた。腹部CTで複数の短絡路と思われる異常血管を認めた.PTPで上腸間膜静脈-下大静脈 (SMV-IVC) と下腸間膜静脈-下大静脈 (IMV-IVC) に2本の短絡路が存在した。上・下腸間膜静脈の短絡路流出による求肝性血流の低下が高アンモニア血症を誘発させたと判断した.そこで2本の短絡路に対しスチールコイルとヒストアクリル-リピオドール混和液にて経皮経肝的短路絡寒栓術 (PTO) を施行した.PTO後に求肝1生血流の増加と門脈圧の上昇を認めた.術後アンモニア, アルブミン値の改善がみられた.合併症として食道静脈瘤が出現したが腹水, 血栓症は認めなかった.SMVとIMVの両血流がIVCへ短絡している例は稀で, 短絡路に対するPTOが臨床的に有効であったと思われ報告する.
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