抄録
症例は25歳男性.突然の吐血を主訴に平成14年2月11日当院を受診した.上部消化管内視鏡検査にてLmF2CbRC (+) の食道静脈瘤と同部より噴出性出血を認め, 食道静脈瘤破裂と診断し, 内視鏡的硬化療法を施行した.血液検査では軽度の胆道系酵素の上昇がみられたが, 肝予備能は正常であった.腹部超音波検査では, 肝脾腫を認め, 肝実質が不均一に描出された.腹部血管造影検査では肝動脈, 門脈の異常は認めなかった.肝動脈造影下CT (CTA), 門脈造影下CT (CTAP) では肝全体が不均一に造影された.経皮的肝生検では門脈域の不規則な線維性拡大と, 肝小葉構築の改変を認めた.門脈域に細胆管の増生がみられたが, 胆汁うっ滞や炎症細胞の浸潤はみられず, 先天性肝線維症と診断された.本疾患は若年の門脈圧亢進症の稀な成因の1つである.他の画像所見が特発性門脈圧亢進症 (IPH) と類似するが, 本症例のようにCTA, CTAPにて特徴的な造影所見が認められ, その鑑別において有用であると考えられたため, 報告する.