抄録
症例は69歳, 男性.1995年よりC型肝硬変で通院中。食道静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法を2回施行し, 静脈瘤の再発なく経過していたが, 2001年12月7日にタール便が出現したため来院.緊急内視鏡検査でEGJ直上のF0食道静脈瘤からの出血を認め, endoscopic variceal ligation (EVL) で止血後, 1%ASの血管外注入, およびヒートプローブによる地固め療法を追加した.その約1カ月後, 再度, タール便が出現し来院した.緊急内視鏡検査では, 胃噴門部の静脈瘤としての形態を有さない部位より噴出性の出血を認めた.出血点に対しEVLで止血し, 待期的にF0RC (-) 食道静脈瘤から供血路を含めた内視鏡的硬化療法を施行し, その後, 現在までの11カ月間再出血は認めていない.静脈瘤としての形態を有さない胃噴門部静脈叢からの出血例では, 出血部位の同定が難しく, かつ治療に苦慮することが経験される。治療に際しては初発静脈瘤と同様に, 可能な限り, 食道側からの内視鏡的硬化療法にて背景の静脈叢・静脈瘤を治療することが肝要と考えられた.