難治性大量腹水の治療を目的としてTIPSを行った23例の治療成績について報告した.対象のchild-Pughスコアは9.7 ± 1.6であり, 術前には全例1週間に1度以上の頻度で腹水穿刺を必要とした.術後に腹水穿刺を必要とする大量腹水が存在した割合は, 6カ月3/19, 1年2/17, 2年0/9であり, 腹水の改善とともに患者の日常生活動作は向上した.619 ± 526日の追跡期間において, 1年生存率は71%, 2年生存率は49%と良好であった.術後脳症は20例にみられたが軽度なものが多く, 易治療性であった。難治性腹水の治療にTIPSは有用であるが, その一般的実施の前に, 難治性腹水の診断基準の統一およびperitoneovenous shuntとの比較試験が望まれる.