日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム4: 血友病の診療の進歩と今後の課題
血友病遺伝子/細胞治療の方向性
松井 英人
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キーワード: 血友病, 遺伝子/細胞治療
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2015 年 52 巻 3 号 p. 254-257

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抄録
血友病は血液凝固因子の量的および質的異常による先天性血液凝固異常症である.現在,血漿由来または遺伝子組み替え製剤による補充療法が確立されており,血友病患者QOLは飛躍的に改善された.しかしながら過去に血漿由来製剤による肝炎やHIVなどの感染症問題,また高額な製剤による医療費の問題など改善すべき課題はいまだに多い.また世界的にみれば,約70%の血友病患者が十分な治療をうけることができておらず,そこでより安全かつ有効な次世代の血友病治療として遺伝子/細胞治療の確立が期待されている.
欠損遺伝子を恒常的に持続発現することを目標とする遺伝子/細胞治療は,血液凝固因子のcDNAが1990年代に入り次々にクローニングされ,以降精力的に研究され臨床試験もいくつか行われてきたが,有効性が認められなかった.しかし,2011年にNathwaniらにより,アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる血友病B遺伝子治療の成功例が報告された.現在引き続き症例エントリーを増やし有効性が検討されているが,AAVベクターを含むウイルスベクターを静脈投与する遺伝子導入法では永続的に100%安全が担保できるわけではない.またベクターに搭載するcDNAサイズが大きい血友病Aは,ベクター作製にさらに大きなハードルがある.
本総説では,次世代血友病治療の最前線を紹介し,新規遺伝子/細胞治療法の有用性や安全性を議論し,その将来展望について考えたい.
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© 2015 日本小児血液・がん学会
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