抄録
安全で止血効果が高い製剤の開発,家庭注射の認可,定期補充療法の普及,包括的サポート体制の導入など近年の血友病医療の発展は目を見張るものがあり,こうした医療を受けた患者のQOLは著しく改善している.しかし,我が国では約6000名の血友病患者が500以上の施設に分散して受診していて,その多くの施設には血友病医療に詳しい医師がいない.その結果,大きな医療格差が生じ,医療の進歩の恩恵にあずかることができない患者が少なからず存在する.患者が居住地近隣の施設で治療を受けることができるという利便性を損なうことなく,個々のニーズに応じた最善の血友病ケアを受けられるようにするためには,血友病診療の拠点となる中核病院と,専門医がいない施設との連携が必要である.そこで我々は,血友病専門医に,サテライト病院に勤務している医師,血友病医療で重要な役割を担っているコメデイカル・スタッフ,患者・家族からなる検討班を組織して議論を重ね,血友病診療拠点病院,血友病診療特殊機能型病院,血友病診療地域中核病院,血友病診療連携施設からなる医療連携体制の構築を提言した.