日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム6: 小児がん治療と機能温存,その意義は
小児がん放射線治療における生殖機能障害について
正木 英一藤 浩北村 正幸大岡 美奈子庄司 一寅
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2015 年 52 巻 3 号 p. 275-282

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抄録
小児がんにおける集学的治療の結果,生命予後は改善してきており,その結果として小児がんsurvivorの晩期合併症としての生殖機能障害が問題となってきている.
放射線治療の面からこの問題を取り上げると,内分泌障害(中枢性)と卵巣機能障害,精巣機能障害(局所性)から考えねばならない.
中枢性内分泌障害:頭部照射による脳下垂体・視床下部への影響として,40 Gyを超える線量が投与されると中枢性性腺機能低下症を来たすと言われており,女性では早発閉経や早発卵巣機能不全を来たす.男性では卵巣刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)分泌低下を来たす.
卵巣機能障害:骨盤照射により卵巣が照射野内にあれば40歳以上は6 Gyで永久卵巣不全を来たすし,若い女性の50%以上は20 Gyであっても生殖腺機能を回復する.
精巣機能障害:男性は3 Gyで照射前の精子数,卵胞刺激ホルモンレベルに回復するのに30カ月かかると言われており,6 Gyを超えると無精子症は回復しない.
また,子宮に放射線照射が及ぶと線維症や発育不全をもたらし妊孕性に問題が起こりえる.これには卵巣機能障害以上の照射線量を要するであろう.これらの点から生殖器への照射はできうる限り避ける必要があり,できうれば性腺遮蔽,卵巣位置移動術などを考慮すべきである.
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© 2015 日本小児血液・がん学会
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