日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
5年の経過で診断した完全型 Heerfordt症候群を呈したサルコイドーシスの 1例
田中 萌 川述 剛士堀口 有希徳永 将勝伊藤 幸祐石田 友邦梅澤 弘毅田中 健介鈴木 未佳福岡 みずき河野 千代子
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2021 年 41 巻 1_2 号 p. 71-75

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抄録

症例は 27歳男性.22歳時にぶどう膜炎と診断され,両側肺門リンパ節腫脹( BHL)を認め経過観察されていた.5年後に両側耳下腺腫脹,左顔面神経麻痺,発熱が出現し,ぶどう膜炎の再燃と BHLの悪化を認めた.経気管支肺生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスの組織診断群と診断した.特徴的な主症状 3所見と発熱を認めることから,完全型 Heerfordt症候群と診断し,ステロイド投与により改善した.Heerfordt症候群はぶどう膜炎,耳下腺腫脹,顔面神経麻痺の 3所見に発熱を伴うサルコイドーシスの一亜型であり,完全型の発症頻度は 0.3%と稀である.まとまった報告はないが,Heerfordt症候群では各症状・病変が異時性に出現する報告が散見され,本症例は初発症状が出現して完全型 Heerfordt症候群の診断に至るまで,5年の経過を要した.Heerfordt症候群について,過去の報告から文献的考察を交えて報告する.

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© 2021 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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