2016 年 53 巻 2 号 p. 75-79
非典型溶血性尿毒症症候群は血小板減少,溶血性貧血,急性腎障害を三徴とし,末期腎不全に至る重篤な疾患である.補体関連遺伝子の異常による補体第二経路の異常活性化が原因であることが解明されつつあり,病態解明が近年急速に進んでいる疾患である.治療は血漿療法が中心であったが,病態の解明とともに抗補体療法であるエクリズマブが適応となり,aHUSの寛解が報告されている.本疾患の原因として,複数の遺伝子が報告されており,また未知の原因も含まれた症候群であり,診断が非常に困難な疾患である.本邦においても2016年2月に日本腎臓学会と日本小児科学会から「非典型溶血性尿毒症症候群 (aHUS) 診療ガイド2015」が公開され,aHUSの定義,診断,治療までの流れが明確になりつつある.本稿ではaHUSの病態,診断,治療について概説するとともに,aHUS診療ガイド2015の要点を概説する.