2016 年 53 巻 3 号 p. 208-211
四肢骨軟部肉腫の手術では患肢温存術が可能である症例が増えている.しかし,腫瘍用人工関節による再建方法は,長期的な成績が必ずしも良好とは言えない.長期の生存が期待されるAYA世代の治療においては,自家組織を積極的に用いた人工関節を用いない再建方法も選択肢として考慮してよいと考える.
また,AYA世代における肉腫の組織型は全国骨軟部腫瘍登録のデータから調べると通常の成人例とは異なる.AYA世代に頻度の多い肉腫の特徴を反映して,診断時のリンパ節転移率や遠隔転移率が高い特徴がある.
AYA世代の四肢骨軟部肉腫患者に対しては,長期生存,診断時リンパ節転移率・遠隔転移率を考慮し,成人型骨軟部肉腫とは異なった外科治療のアプローチを検討する必要がある.