中心静脈カテーテル(central venous catheter:以下,CVC)は悪性疾患に対する化学療法の安全性を向上させた.一方で,カテーテル感染や血栓性静脈炎,fluid extravasationなど,多彩な合併症を呈することも知られている.今回我々は,小児急性白血病患者にCVCを留置中,突然の胸痛と呼吸苦を訴え精査にて静脈穿破が確認された2症例を経験した.両症例とも,左上腕より挿入し,挿入後1ヶ月以内に発症した.画像検査にて大量の胸水貯留を認めるが,CVCから少量の造影剤を注入することでCVC先端と胸腔との間に直接交通がないことを確認した.当院で施行している造影剤注入によるCVC先端位置の確認は,CVCによる静脈穿破の診断に加えてCVC抜去に伴う大量出血の有無を予知する優れた方法と考えられる.