日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
中心静脈カテーテル挿入後経過中に静脈穿破をきたした2症例の経験
~造影剤注入によるカテーテル先端位置確認法の有用性~
伊川 泰広西村 良成酒井 清祥野口 和寛福田 正基藤木 俊寛馬瀬 新太郎黒田 梨絵荒木 来太前馬 秀昭谷内江 昭宏
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2016 年 53 巻 3 号 p. 273-276

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抄録

中心静脈カテーテル(central venous catheter:以下,CVC)は悪性疾患に対する化学療法の安全性を向上させた.一方で,カテーテル感染や血栓性静脈炎,fluid extravasationなど,多彩な合併症を呈することも知られている.今回我々は,小児急性白血病患者にCVCを留置中,突然の胸痛と呼吸苦を訴え精査にて静脈穿破が確認された2症例を経験した.両症例とも,左上腕より挿入し,挿入後1ヶ月以内に発症した.画像検査にて大量の胸水貯留を認めるが,CVCから少量の造影剤を注入することでCVC先端と胸腔との間に直接交通がないことを確認した.当院で施行している造影剤注入によるCVC先端位置の確認は,CVCによる静脈穿破の診断に加えてCVC抜去に伴う大量出血の有無を予知する優れた方法と考えられる.

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© 2016 日本小児血液・がん学会
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