日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
当初顆粒球成熟障害を呈し,ヘテロ接合性ELANE遺伝子変異を認めた周期性好中球減少症の一例
若松 学関屋 由子坂口 大俊吉田 奈央唐川 修平小林 正夫松本 公一加藤 剛二
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2017 年 54 巻 1 号 p. 35-38

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抄録

周期性好中球減少症(CyN)および重症好中球減少症(SCN)では顆粒球成熟障害を来し,細菌感染を繰り返す.双方とも殆どの症例で好中球エラスターゼをコードするELANE 遺伝子変異が関与する.症例は1歳9か月の女児.遷延する好中球減少にて当院受診し,初診時の骨髄検査で骨髄球以降の顆粒球成熟障害を認め,さらに遺伝子検査でELANE遺伝子のインフレーム欠失(IVS4+1G>A)が同定され,SCNと診断した.しかしその後,好中球数に周期的変動を認めることから,初診時から4か月後に骨髄検査を再度施行し,骨髄球以降の顆粒球成熟障害の改善を確認した.好中球数の周期的な変動と骨髄所見より最終的にCyNと診断した.診断以降,徐々に好中球数が増加し,細菌感染の頻度も減少してきている.SCNとCyNの鑑別は好中球数の変動を細めに追跡し,骨髄検査の再検が重要と考えられる.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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