日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
IDRF陽性,化学療法不応性の低リスク神経芽腫の一例
横井 暁子長谷川 大一郎玉城 昭彦齋藤 敦郎二野 菜々子赤坂 好宣吉田 牧子前田 貢作小阪 嘉之
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2017 年 54 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

IDRF陽性の低リスク群神経芽腫は,化学療法を先行させて,IDRFが陰性化した時点で手術を行うのが良いとされるが,IDRF陽性で化学療法不応な場合の治療戦略は判断に苦慮する.今回5歳女児のIDRF陽性,化学療法不応性低リスク群神経芽腫を経験したので報告する.左上腹部に石灰化を伴う78×83 mmの腫瘍を認め,左腎動脈が腫瘍の中を貫き,左腎静脈が腫瘍の辺縁にありIDRF陽性であり,生検でganglioneuroblastoma intermixed,favorable histology,diploidy,MYCN増幅なしであった.Stage 2A,低リスク群神経芽腫に分類され,治療レジメンLI-Bを計6コース行った.しかし腫瘍は縮小せず,腎温存・腫瘍亜全摘術を行う方針とし,腎血管を温存するラインで腫瘍切離を開始したが,出血コントロールが困難であったため,左腎合併切除・腫瘍全摘術を行った.術後は順調に経過した.摘出腫瘍ではシュワン様間質が腫瘍細胞を島状にとりかこんでおり,腫瘍はdifferentiating subtypeのneuroblastomaに相当し,viableな細胞を多数認めた.MYCNの増幅はなく,治療を終了し経過観察とした.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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