日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
小児頭蓋外悪性胚細胞腫瘍:単施設における50例の臨床的検討
荒川 ゆうき康 勝好上原 太一柳 将人小山 千草池田 勇八佐々木 康二渡邉 健太郎磯部 清孝森 麻希子田中 裕次郎川嶋 寛小熊 栄二岸本 宏志花田 良二
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2017 年 54 巻 3 号 p. 236-240

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抄録

本邦における小児頭蓋外悪性胚細胞腫瘍(Malignant Germ Cell Tumors; MGCTs)に対するまとまった報告は少ない.そこで我々は1983年から2015年までの間に当施設にてMGCTsと診断された50例について後方視的に,予後,治療ならびに予後因子について解析を行った.診断時年齢の中央値は2.0(0.03–16.4)歳で,観察期間の中央値は2199(76–7922)日であった.7例は未分化胚細胞腫/セミノーマで,34例は卵黄嚢腫瘍,4例は胎児性癌であり,5例は複合組織型であった.初期治療として,完全摘出したうちの7例は術後経過観察を行った.残りの42例は化学療法を施行し,うち35例はカルボプラチンを用いた化学療法を行い,6例はVAC療法(VCR, CPA, Act-D),2例はそのほかの治療を行った.

病期IVを除いた症例(n=40)の5年の全生存率は100%で,病期IV(n=9)は53.6(13.2–82.5)%と統計学的に有意に病期IVの予後が悪かった(p=6.84E-9).全摘出後経過観察を行った7名のうち2例は再発したが,化学療法で救済できた.

病期IVは予後不良因子であった.また病期Iの全摘出後の経過観察は選択肢の一つと考えられた.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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