日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
臍帯血移植拒絶後,半合致移植を行い無再発生存を得ているPTPN11変異陽性若年性骨髄単球性白血病急性転化の一例
大部 聡谷口 理恵子百合草 祥子清水 大輔北澤 宏展小倉 妙美堀越 泰雄渡邉 健一郎
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2017 年 54 巻 3 号 p. 241-244

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抄録

急性転化を起こしたPTPN11遺伝子変異陽性の若年性骨髄単球性白血病(JMML)の予後は極めて不良である.症例は3歳の女児.発熱,肝脾腫,貧血,血小板減少を主訴に受診し,骨髄はrefractory anemia of excessive blastsの所見であったが,PTPN11遺伝子変異,spontaneous colony陽性からJMMLの急性転化と診断した.HLA遺伝子型1座不一致の臍帯血移植を行ったが拒絶され,HLA半合致の母をドナーとした末梢血幹細胞移植を行った.Grade IIIの急性GVHDを合併し,完全キメラとなったが,ドナー型造血不全となった.母由来の幹細胞輸注を行ったが血球が回復しないため,HLA半合致の父をドナーとした骨髄移植を行い,1年以上無病生存している.PTPN11変異陽性の急性転化例のような,従来の移植法では十分な効果が得られない最重症のJMMLに対して,強力なGVL効果が期待できる半合致移植は有効な選択肢の1つであることが示唆された.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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