2017 年 54 巻 3 号 p. 267-270
腹痛で入院した12歳男児.腹部CT検査で小腸に巨大な腫瘤病変を認め,病理組織検査で消化管原発B細胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)と診断した.治療開始9日目に急激に腹痛が増悪,消化管穿孔と診断し,緊急開腹術を行い,穿孔部を直接縫合した.穿孔部は生検部位とは異なる場所に認められ,腫瘍が浸潤した小腸壁が治療により脆弱化したことが原因と推測された.小児悪性リンパ腫における内科治療中の消化管穿孔はまれな合併症ではあるが,致死的な経過をたどることも多いため,消化管原発NHLの治療を行う際は注意する必要があると考えられた.