日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム5: 悪性ラブドイド腫瘍 Malignant Rhabdoid Tumor(MRT)
悪性ラブドイド腫瘍の分子病理学的特徴と他のSMARCB1/INI1欠失腫瘍群との鑑別
小田 義直孝橋 賢一
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2017 年 54 巻 5 号 p. 313-315

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抄録

SMARCB1蛋白の完全発現欠失は悪性ラブドイド腫瘍(MRT)に特異的であり,その診断に有用とされていた.しかしながら,SMARCB1完全欠失はMRT以外にも類上皮肉腫(ES),骨外性粘液型軟骨肉腫などでも認められることが報告された.その他に我々はSMARCB1のモザイク状異常発現する胃腸管間質腫瘍や,周囲組織よりも発現減弱する滑膜肉腫を報告した.MicroRNA解析によりMRTの亜型と考えられる中枢神経外発生の非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍様の組織所見を呈する腫瘍群および小円形細胞腫瘍群を見出した.MRTとESとはしばしば組織学的鑑別が困難であるが,ERG,SALL4,GPC3染色を組み合わせて評価することが診断に有用であると思われる.

ESでは,SMARCB1発現が高頻度に欠失するが遺伝子異常を伴わない症例も存在し,SMARCB1蛋白発現を抑制させるメカニズムの候補として,我々はmiR193a-5pによる制御の可能性を報告した.同一染色体上でSMARCB1遺伝子と近接しているEWSR1遺伝子の再構成を有する軟部腫瘍の中で骨外性粘液軟骨肉腫にSMARCB1蛋白欠失を有する例を認めた.

これらのSMARCB1蛋白欠失腫瘍群に対する形態学的,分子生物学的解析は,腫瘍発生メカニズムの解明に寄与すると同時に,より簡便な鑑別診断法の確立にも寄与するものと考えられる.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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