日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム6: LCH
頭蓋骨単独ランゲルハンス細胞組織球症の脳神経外科的治療方針
五味 玲
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2017 年 54 巻 5 号 p. 329-335

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抄録

Langerhans Cell Histiocytosis(LCH)のうち頭蓋骨に発生した単一臓器単一病変型(Single-system single-site:SS-s型)病変について,小児の診療を専門とする脳神経外科医に治療方針や治療法についてアンケートを行い,20施設から回答を得たので報告する.他臓器病変の検索は85%で行われ,その約70%では小児血液腫瘍科医が関与していた.中枢神経リスク病変である頭蓋底病変を除く頭蓋骨(頭蓋冠)SS-s病変の場合,摘出術は80%で行われた.20%はまず自然退縮を期待し経過を見て,縮小しなければ摘出術とした.摘出方法は生検25%,摘出75%で,摘出方法は病変部のみ摘出35%,周囲の組織も含めた摘出が65%だった.化学療法は残存病変があれば行う10%,残存にかかわらず行う15%,行わない75%だった.Follow upの担当は脳神経外科医のみ16%,小児科医のみ26%,併診58%.晩期合併症の経験は3施設15%で見られた.頭蓋冠SS-s病変は自然退縮も期待できる一方,病変の完全摘出が可能でその場合は化学療法は必要なく,生検や部分摘出の場合は追加治療を要する場合がある,という治療方針の傾向が示された.頭蓋骨SS-s病変の患児はまず脳神経外科を受診することが多く,今後は脳神経外科医を対象とした全国規模の観察研究が必要である.

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© 2017 日本小児血液・がん学会
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