2017 年 54 巻 5 号 p. 384-387
全ゲノム解析等の網羅的遺伝子解析によるリンパ腫の分子機序の解明やそれらの予後因子としてのインパクトについての研究成果が蓄積され,WHO分類においても,治療法や分子生物学的特徴に基づいた疾患単位とし,改訂第4版ではいくつかの暫定項目が提唱された.小児のFollicular lymphoma (FL) は,t(14;18)を欠き,予後は良好といった成人とは異なる特徴をもつため,改訂第4版ではpediatric-type FLとして独立した項目となった.また分子機序の相違からdiffuse large B-cell lymphoma (DLBCL) にはgerminal center B-cell-like (GCB), activated B-cell-like (ABC) の亜型が付記され,B-cell lymphoma, unclassifiable, with features intermediate between DLBCL and Burkitt lymphomaは,high grade B-cell lymphoma (HGBL), with MYC and BCL2 and/or BCL6 translocationsとHGBL, NOSに分けられることとなった.さらにMYC転座の認められないBurkitt-like lymphoma,特異なIRF4融合遺伝子を有するB-cell lymphomaが暫定項目として追加された.改訂第4版では,病理組織像,免疫組織化学染色による免疫学的表現型とともに,遺伝子解析が診断のために必須となった.