2024 年 80 巻 18 号 論文ID: 24-18042
海岸侵食対策として設置されている潜堤の課題である潜堤背後の水位上昇および沖向き流れによる洗堀に対し,潜堤の天端部分のみの構造形式である平板式の潜堤を提案し,水理模型実験および数値実験により,高波減衰効果,構造物背後の水位上昇抑制効果,沖向き流れの抑制効果について検討を行った.その結果,潜堤の天端長と同程度の平板式潜堤は潜堤に近い消波効果が期待できることを確認した.さらに,潜堤の堤体部分に流れに対する透過性を有する開口部を設けることで,水位上昇を抑制できること,沖向きの流速を低下させる効果があることを明らかにした.また,平板式潜堤ほどの大きな開口率ではなく50%以上程度の開口率でも水位上昇については低減が可能であるものの,沖向き流速は透過断面が大きいほど流速を低下するため,洗堀防止の観点からは平板式潜堤が特に効果的であることが確認できた.