2017 年 54 巻 5 号 p. 388-392
小児骨髄不全症の診断においては,再生不良性貧血(AA)と骨髄異形成症候群(MDS),特にrefractory cytopenia of childhood(RCC)との鑑別が問題となる.RCCの骨髄は低形成ではあるがAAに比較して軽度であり,赤芽球や顆粒球系細胞がみられ,巨核球も少数観察される場合がある.赤芽球系においては巨赤芽球様変化など,顆粒球系においては偽ペルガー核異常など,巨核球系においては微小巨核球などが認められる.さらに遺伝性骨髄不全症候群(IBMFS)を鑑別する必要がある.IBMFSにはFanconi貧血,Dyskeratosis congenitaおよびShwachman-Diamond症候群などが含まれる.日本小児血液・がん学会のAA・MDS形態中央診断による1,712例のレビュー結果では939例(55%)が骨髄不全症と診断された.骨髄不全症は,特発性AA:194例(21%),RCC:381例(41%),refractory cytopenia with multilineage dysplasia(RCMD):203例(22%),肝炎関連造血障害:56例(6%),発作性夜間血色素尿症:5例(0.5%),薬剤性:5例(0.5%)およびIBMFS:95例(9%)に分類された.IBMFSの確定診断は遺伝子診断によるが,今後はすべての原因遺伝子を網羅した次世代シークエンサーによる遺伝子解析がスクリーニング検査として用いられるようになると思われる.