2018 年 55 巻 2 号 p. 116-122
小児の急性骨髄性白血病(AML)は,cytarabineとanthracycline系抗がん剤を中心とした多剤併用化学療法,白血病の遺伝子染色体異常および治療反応性に基づくリスク層別化,再発リスクの高い群に対する造血幹細胞移植,支持療法の進歩等によって,約60%の無イベント生存率,約70%の全生存率を達成している.しかしながら,小児AML患者の約10%を占める寛解導入不能例,約30%を占める再発例の予後は極めて不良であり,白血病そのものの克服が依然最大の課題である.AMLでは成人を含めて,長年にわたって臨床的に有効な新規薬剤の開発が進まない状況が続いたが,2017年に米国においてgemtuzumab ozogamicin,midostaurin,CPX-351,enasidenibの4種の新規医薬品が承認された.本総説では,これらの4種の薬剤の開発経緯を概説するとともに,今後の小児AMLにおける新規薬剤開発の展望と課題についても述べる.