日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム3: AMLの新規治療
CROX:(Cluster Regulation of RUNX)による新規急性骨髄性白血病制御戦略の提唱
野口 勇貴能浦 三奈岩井 詩咲花嶌田 紗英鈴木 雄太杉山 弘足立 壮一上久保 靖彦
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2018 年 55 巻 3 号 p. 223-228

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抄録

Runt-related transcription factor (RUNX) はRUNX1,RUNX2,RUNX3の3つのファミリーからなる転写因子である.従来“がん抑制遺伝子”と認識されていたが,近年はむしろそのオンコジェニックな側面(腫瘍増殖促進,癌幹細胞維持,薬剤耐性獲得など)が注目されつつあり,様々な癌の特質となるHallmarksに関わる主要因子と深く関連していることが明らかになりつつある1–3).我々のグループは,世界に先駆けてこのRUNXのオンコジェニックメカニズムの解明とそれをターゲットとする制御戦略を構築中である.我々は,RUNX familyに共通するconsensus binding sequence (5′-TGTGGT-3′) に着目し,これを阻害できる薬剤であるChlorambucil-conjugated pyrrole imidazole polyamide (Chb-M′) を開発中である.本稿では,第59回日本小児血液・がん学会学術集会AMLシンポジウムで発表した議題を中心に,新薬開発基盤となる急性骨髄性白血病(AML)の増殖性維持機構,薬剤耐性獲得機構をそのメカニズムの一端と,我々の遺伝子スイッチ法を用いた新規制御コンセプトを述べたい.

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© 2018 日本小児血液・がん学会
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