日本小児血液・がん学会雑誌
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原著
当院における高リスク神経芽腫に対する導入化学療法rapid COJECの治療毒性に関する症例研究
斎藤 雄弥松井 基浩山岡 祥子横川 裕一牧本 敦湯坐 有希
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2018 年 55 巻 3 号 p. 269-273

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抄録

高リスク神経芽腫に対する導入化学療法は強度が高く,重度の骨髄抑制,重症感染症が危惧されるため,毒性の軽減が望まれる.

今回,rapid COJECを実施した症例の急性毒性について後方視的に解析し,Regimen A(05A1, 05A3)で治療された症例との比較検討を行った.対象症例は,2007年2月1日から2016年12月31日までに当院で治療を実施した初発高リスク神経芽腫18例(Regimen A 10例,rapid COJEC 8例)とした.導入化学療法終了後にCRもしくはVGPRであった症例は,Regimen A群で7/10(70%),rapid COJEC群で7/8(87.5%)であり,両群間に差は認められなかった.急性毒性の所見として,rapid COJEC群はRegimen A群と比較し,100日当たりの白血球減少期間(中央値22日と44日,P<0.002)および好中球減少期間(中央値22日と42日,P<0.005)において有意に短かった.G-CSFの投与期間や発熱性好中球減少症の回数については両群で差は認められなかった.

以上より,高リスク神経芽腫に対する導入化学療法であるrapid COJECは急性毒性が軽減されたレジメンとして期待される.ただし,聴力障害,腎機能障害などの晩期合併症については評価しておらずフォローアップが必要である.

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© 2018 日本小児血液・がん学会
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