日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
現在の神経芽腫診療におけるVMAスポット法の再評価
野口 和寛西村 良成荒木 来太福田 正基藤木 俊寛黒田 梨絵伊川 泰広前馬 秀昭谷内江 昭宏
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2018 年 55 巻 3 号 p. 284-287

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抄録

神経芽腫はカテコラミン産生腫瘍であり,尿中バニリルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸(HVA)の測定は有用な補助診断法の一つである.以前はVMAスポット法が唯一のVMA検査法であったが,偽陽性が多く,近年では高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量法が普及している.神経芽腫の10%は尿中VMA・HVAともに陰性である.しかし,これらの半数はVMA・HVA以外のカテコラミンおよび代謝物質の尿中濃度が高値である.過去の研究でVMAスポット法はVMAだけでなく,VMA以外の様々なカテコラミンおよびカテコラミン代謝産物を検出できると報告されている.今回,HPLCで尿中VMA陰性であったがVMAスポット法が陽性となり神経芽腫と早期から推定できた副腎腫瘍の2症例を経験した.画像検査で腫瘍性疾患を認める場合,VMAスポット法はVMA・HVA陰性の場合も含めて,神経芽腫の診断に有用である.

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© 2018 日本小児血液・がん学会
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