日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
非血縁骨髄移植後の閉塞性細気管支炎に対する生体肺移植患者の長期フォローアップ
小池 隆志今井 枝里福村 明子大坪 慶輔清水 崇史森本 克杉山 延喜池上 真理子石黒 寛之新村 文男望月 博之庄司 剛陳 豊史伊達 洋至矢部 みはる矢部 普正
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 55 巻 3 号 p. 288-292

詳細
抄録

造血幹細胞移植後の治療抵抗性閉塞性細気管支炎(BO)に対しては肺移植が唯一の根治療法となるが,成長期の小児に対する肺移植後の長期管理においては,拒絶や感染症などの合併症に加えて,移植肺が体の成長に適応するかという問題がある.症例は肺移植時10歳の急性骨髄性白血病の男児で,非血縁骨髄移植後にBOを合併したため,両親からの両側生体肺移植を施行した.肺移植後の晩期合併症として,慢性拒絶,サイトメガロウイルス感染症,腎機能低下等がみられたが,いずれも治療により軽快した.Quality of life(QOL)は劇的に改善し,日常生活は自力で可能となった.肺移植後7年6か月を経過した現在,停滞していた身長の伸びと体格に応じた肺の成長を認めている.肺移植後の長期管理は,呼吸器外科と小児血液専門医のみでなく,内分泌,腎臓,神経など各専門医によるチーム医療体制による注意深い経過フォローアップが重要である.

著者関連情報
© 2018 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top