2018 年 55 巻 3 号 p. 288-292
造血幹細胞移植後の治療抵抗性閉塞性細気管支炎(BO)に対しては肺移植が唯一の根治療法となるが,成長期の小児に対する肺移植後の長期管理においては,拒絶や感染症などの合併症に加えて,移植肺が体の成長に適応するかという問題がある.症例は肺移植時10歳の急性骨髄性白血病の男児で,非血縁骨髄移植後にBOを合併したため,両親からの両側生体肺移植を施行した.肺移植後の晩期合併症として,慢性拒絶,サイトメガロウイルス感染症,腎機能低下等がみられたが,いずれも治療により軽快した.Quality of life(QOL)は劇的に改善し,日常生活は自力で可能となった.肺移植後7年6か月を経過した現在,停滞していた身長の伸びと体格に応じた肺の成長を認めている.肺移植後の長期管理は,呼吸器外科と小児血液専門医のみでなく,内分泌,腎臓,神経など各専門医によるチーム医療体制による注意深い経過フォローアップが重要である.