日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
HLA半合致移植後に脾機能不全をきたし侵襲性肺炎球菌感染症を反復した小児急性リンパ性白血病
小野 貴志望月 一弘佐野 秀樹小林 正悟藁谷 朋子大原 喜裕高橋 信久細矢 光亮大戸 斉菊田 敦
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 55 巻 3 号 p. 293-297

詳細
抄録

症例は極早期骨髄単独再発したB前駆細胞性急性リンパ性白血病の5歳男児.第2寛解期に母親をドナーとしたHLA半合致末梢血幹細胞移植を施行した.Grade IIIの急性移植片対宿主病(GVHD)及び皮膚・肺に慢性GVHDを認めたが,移植後18ヶ月に全ての免疫抑制剤を中止し得た.外来フォロー中の移植後26ヶ月に1回目の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を,その7ヶ月後に2回目のIPD(血清型:15A)を認めた.各種免疫能に明らかな異常なく,初回IPD前からHowell-Jolly小体が出現していたため,脾臓シンチグラフィーを行ったところ,脾臓への集積欠損を認めた.腹部CTでは,移植時には腫大していた脾臓が経時的に縮小し,初回IPD発症前には高度に萎縮していた.自験例は非ワクチン型によるIPDで2回目以降はST合剤内服によりIPDの再発は認めていない.

著者関連情報
© 2018 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top