2018 年 55 巻 3 号 p. 293-297
症例は極早期骨髄単独再発したB前駆細胞性急性リンパ性白血病の5歳男児.第2寛解期に母親をドナーとしたHLA半合致末梢血幹細胞移植を施行した.Grade IIIの急性移植片対宿主病(GVHD)及び皮膚・肺に慢性GVHDを認めたが,移植後18ヶ月に全ての免疫抑制剤を中止し得た.外来フォロー中の移植後26ヶ月に1回目の侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)を,その7ヶ月後に2回目のIPD(血清型:15A)を認めた.各種免疫能に明らかな異常なく,初回IPD前からHowell-Jolly小体が出現していたため,脾臓シンチグラフィーを行ったところ,脾臓への集積欠損を認めた.腹部CTでは,移植時には腫大していた脾臓が経時的に縮小し,初回IPD発症前には高度に萎縮していた.自験例は非ワクチン型によるIPDで2回目以降はST合剤内服によりIPDの再発は認めていない.