14歳女児.左股関節痛が出現し,前医で骨盤内腫瘤を指摘され,当院を受診した.画像診断,腫瘍生検で左恥骨原発ユーイング肉腫(EWS-ERG融合遺伝子発現),右大腿骨,左坐骨転移と診断した.化学療法で腫瘍縮小を得たが右大腿骨と左坐骨転移は残存した.恥骨原発巣摘出の後,骨盤照射による治療を計画した.内分泌機能温存の目的で原発巣摘出と同時に腹腔鏡下右卵巣移動術を行った.卵巣血管を温存し,右傍結腸溝に固定した.原発巣とともに左恥骨と腹直筋の一部を合併切除した.病理所見では,一部に顕微鏡的腫瘍遺残が認められた.術後16日目より骨盤照射(計50.4 Gy)を開始した.術後9か月でE2,FSHは正常値となったが月経は発来しなかった.術後14か月に胸腰椎に遠隔転移再発を認め,化学療法を再開したが術後25か月に死亡した.思春期がん患者においても骨盤照射前の卵巣移動術は考慮すべきである.