日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
症例報告
化学療法開始前に精巣内精子採取を行った仙骨部ユーイング肉腫の一例
富田 晃正宮地 充柳生 茂希土屋 邦彦家原 知子小原 将人石橋 秀信外村 仁寺内 竜白井 寿治久保 俊一市岡 健太郎細井 創
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 55 巻 3 号 p. 320-323

詳細
抄録

小児がん治療による妊孕性喪失の危険性が高い男児の場合,妊孕性温存のため治療開始前に精子凍結保存が望ましい.我々は,精巣内精子採取術 (TESE) により精子凍結保存を施行した骨外性ユーイング肉腫ファミリー腫瘍の症例を経験した.症例は17歳男性.臀部痛と膀胱直腸障害で発症し,仙骨部腫瘍の生検によりユーイング肉腫と診断した.妊孕性温存療法として化学療法開始前にマスターベーションによる精子採取を試みたが,仙骨部腫瘍による神経圧迫に起因する射精障害のため射精できず,2日後にTESEにより精子採取し凍結保存した.術後は同日中に化学療法を開始し,大幅な治療開始の遅延はなくTESEに伴う術後合併症も認めなかった.腫瘍による射精障害がある症例でもTESEにより精子凍結保存が可能である.TESEは短時間,低侵襲で施行可能であり,小児がん治療医も知っておくべき妊孕性温存療法の選択肢の一つである。

著者関連情報
© 2018 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top