日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
部分切除・放射線療法後,エトポシドで寛解となった脊髄退形成性星細胞腫の乳児例
楠田 政輝岡本 康裕中川 俊輔児玉 祐一西川 拓朗松阪 康弘國廣 誉世岡田 恵子義岡 孝子河野 嘉文
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2018 年 55 巻 5 号 p. 417-420

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抄録

症例は6か月男児.生後4か月時から両下肢の対麻痺があり,脊髄MRI検査でTh7-L1に髄内腫瘍を認めた.部分摘出術を施行し,病理検査所見より退形成性星細胞腫(Grade III)と診断した.切除後の造影MRI検査では下位脊髄~脊髄円錐に48 mm×10 mm大の残存病変を認めた.放射線治療(1.5 Gy/回,計36 Gy/24回)を施行し,病変は43 mm×5 mmに縮小し,両下肢の対麻痺は改善した.エトポシド内服(25mg/日×11日)による化学療法14コース終了後(発症から1年6か月)には病変は消失した.現在発症から1年7か月まで再発なく経過している.退形成性星細胞腫においては肉眼的腫瘍摘出術および放射線療法が治療の基本で,化学療法の意義は確立されていない.本症例においては部分切除後・放射線科治療後に大きな残存病変を認めたが,エトポシド内服とともに腫瘍が消失し,エトポシドが奏功した可能性が考えられる.

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© 2018 日本小児血液・がん学会
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