14歳男児,入院2か月前より発熱と体重減少を認め,肺炎の診断で抗菌薬治療を受けたが改善がみられなかった.胸部CT 検査にて左主気管支を圧迫,閉塞する縦隔の腫瘤性病変を認め,当センターへ紹介となった.外科的切除は困難で多発骨転移を認めたため,気管支鏡下生検を施行した.病理組織診断に苦慮したが,RT-PCR にてEWSR1-ATF1 融合遺伝子が検出され明細胞肉腫と診断した.原発巣への放射線照射,イホスファミドとドキソルビシンを用いた化学療法を開始し,照射開始約2週間後には原発巣の縮小を確認,気管支の圧迫が解除された.放射線照射終了後も化学療法を継続したが,照射終了2か月で腫瘍の再増大を認め,再照射と化学療法の変更をしたが敗血症を合併し死亡した.明細胞肉腫は完全摘出以外の治療法は確立されていない.本症例では放射線療法の併用効果によりQOLの改善を得たが一時的であり,新規治療の開発が望まれる.