日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム1: 小児悪性固形腫瘍に対するinitial surgical interventionのあり方
腎腫瘍におけるInitial Surgical Interventionに関する最近の話題
大植 孝治越永 従道福本 弘二
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キーワード: Wilms腫瘍, 外科治療, NWTS, SIOP, 生検
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2019 年 56 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

小児腎腫瘍に対する初期治療方針は,①一期的全摘術を行い,手術所見・病理所見をもとに術後化学療法・放射線治療を行う米国COG方式と,②化学療法を先行して腫瘍の縮小を図った後に全摘を行うSIOP方式の2つに大別される.日本Wilms腫瘍研究グループ(JWiTS)では今まで米国の方式に従って多施設共同研究を行ってきた.いずれの治療方針でも遜色ない治療成績が得られるが,米国の治療方針では,まず腫瘍を摘出するため,正確な病理診断,病期診断に基づく適切な術後化学療法を選択でき,生物学的予後因子を治療方針に組み込みやすいという利点がある.一方SIOPの治療方針では,化学療法により腫瘍が縮小するため手術リスクが軽減され,また腫瘍縮小によるDown Stageによりアントラサイクリンや放射線治療による晩期合併症を軽減できる利点がある.

SIOPのプロトコールでは化学療法前の組織診断に関しては必須としていないが,化学療法前に針生検を行っても病期III扱いにはならない.JWiTS-2の病期III症例の検討では,腫瘍のspillageにより病期IIIになった症例が53%もあり,手術リスクが高い症例ではSIOPの方針に従って,針生検の後化学療法を行い,腫瘍を縮小させてから安全に摘出する方が,手術リスクを軽減し,病期IIIにならずにアントラサイクリンと放射線治療を回避できる可能性がある.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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