日本小児血液・がん学会雑誌
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シンポジウム3: 形態学的,分子生物学的アプローチによる小児固形腫瘍の病理診断
小児横紋筋肉腫の分子病理
大喜多 肇
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2019 年 56 巻 2 号 p. 136-140

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抄録

横紋筋肉腫はICR分類にて胎児型,ぶどう状型,紡錘細胞型,胞巣型に分類されてきたが,2013年に発刊されたWHO分類第4版では紡錘細胞・硬化型が独立し,胎児型,胞巣型,多形型とともに4つのカテゴリーに分類されている.胞巣型の大部分にはPAX3-FOXO1あるいはPAX7-FOXO1融合遺伝子が存在し,本遺伝子の存在が胞巣型の組織型より,より強く予後と関連することが報告されている.本遺伝子の存在を予測する病理学的代替マーカーも開発され,臨床上,融合遺伝子の存在がより重視されるようになってきている.一方,乳児の紡錘細胞型では,VGLL2TEADSRFの関与する融合遺伝子を持つ腫瘍が予後良好な腫瘍として報告された.また,年長児の紡錘細胞・硬化型や胎児型の一部ではMYOD1変異を持つ腫瘍が報告され,臨床病理学的特徴と合わせ,今後,疾患単位として認識されていくと考えられる.今後,分子異常を加えることにより,より精緻な分類が可能となることが期待される.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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