2019 年 56 巻 2 号 p. 172-175
小児におけるメトロニダゾール(MNZ)静注薬の投与は,これまで使用報告が少なく適正な用法・用量や,その効果及び安全性について未だ明らかでない.当院における小児患者に対するMNZ静注薬投与例を検討することにより,小児に対する今後のMNZ静注薬の投与方法,投与効果,安全性等の根拠となるデータを得ることを本研究の目的とした.2014年7月1日から2016年6月30日までの2年間に,当院でMNZ静注薬を投与された15歳以下の造血幹細胞移植を含む抗がん剤治療を受けた小児患者を対象とし,患者背景,投与方法,投与期間,総投与量,有効性,副作用,先行使用していた抗菌薬について診療録にもとづき後方視的検討を行った.対象は4例で,のべ6件で投与を行った.年齢の中央値は8歳5ヶ月(2歳5ヶ月–10歳7ヶ月)で,基礎疾患は急性リンパ性白血病が2例,慢性肉芽腫症が1例,腎芽腫が1例であり,MNZ10 mg/kgを1日3回,8時間毎,1回20分かけて点滴投与した.投与期間の中央値は9(3–15)日,投与回数の中央値は23.5(6–43)回,総投与量の中央値は4,750(900–17,200)mgであった.全例でMNZ静注薬の投与は有効であった.1例で併用内服のタクロリムス血中濃度が上昇する副作用を認めたが,他の副作用は認めなかった.経験症例数は少ないが,MNZ静注薬を併用薬に注意して比較的安全に使用し,効果を得た.