2019 年 56 巻 2 号 p. 207-211
症例は4歳男児.乳児急性リンパ性白血病の外来維持療法中に,経口摂取不良のため血球回復が遷延,体重も減少していた.維持療法終了直前にノロウイルス腸炎に罹患し,体重減少が進行し入院.持続補液と経管栄養を開始したが血球減少が進行し骨髄検査施行.巨赤芽球を認め,葉酸低値もあり,葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血と診断.葉酸の補充により貧血は改善した.その後痙攣を認め,ビタミンK欠乏による硬膜下血腫と診断.ビタミンKの補充と緊急血腫除去術を施行し,経静脈栄養を開始した.以後体重増加と経口摂取の改善を認め,神経学的後遺症なく退院した.本症例は原疾患の治療,家庭環境,ノロウイルス腸炎の罹患など,様々な要因が重なり巨赤芽球性貧血とビタミンK欠乏性出血症を発症した.白血病治療中の葉酸欠乏の報告は散見されるが,ビタミンK欠乏性出血症や両者をきたした報告はまれであり,栄養アセスメントの重要性を含め報告する.