2019 年 56 巻 2 号 p. 225-228
Baker嚢胞が血友病に合併することは稀である.症例はエフトレノナコグアルファを定期補充している5歳の中等症血友病Bの男児(第IX因子活性3.2 IU/dL).打撲後に左膝窩が腫脹し,関節内出血と考えノナコグアルファを投与するも改善せず入院した.単純CTでBaker嚢胞が疑われたが,超音波検査では陳旧性の血腫と診断された.ノナコグアルファによる止血管理を行い,腫瘤の縮小は軽微であったが緊満感の改善があり退院した.その後腫瘤が増大し再出血を疑われ入院し,アルブトレペノナコグアルファで治療した.単純MRIにてBaker嚢胞の可能性を指摘された一方で,超音波検査では出血を疑われ,診断的治療として穿刺した結果,血性粘液を回収しBaker嚢胞内の出血と診断した.超音波検査は出血に対する感度が高い可能性がある.血友病患者における非典型的な膝の腫脹に対しては超音波検査およびMRIで評価する必要がある.