日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
異常ヘモグロビン症の日本人症例5例の臨床学的および細胞学的検討
牧野 理沙松林 正大箸 拓澁谷 温
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2019 年 56 巻 2 号 p. 229-233

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抄録

本邦では非常に稀な異常ヘモグロビン症(Hb Sabine, Hb Evans, Hb Hazebrouck)を報告する.Hb Sabine,Hb Hazebrouckは本邦初報告である.症例1は幼児期から重症の溶血性貧血を呈し,無形成発作を繰り返したため,脾臓摘出術を施行した.遺伝子検査でHb Sabine [β91(F7)Leu→Pro, CTG→CCG(β)]と診断した.症例2は新生児期に溶血性黄疸を呈し,その後も軽度の溶血性貧血を認めていた.遺伝子検査でHb Evans [α62(E11)Val→Met, GTG→ATG(α2)]と診断した.その母も溶血性貧血(脾臓摘出術後)の既往あり,子の診断を契機にHb Evansと診断した.症例3は呼吸障害がないにもかかわらず経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)低値を呈し,動脈血酸素分圧(PaO2)との解離を認めたことから異常ヘモグロビン症を疑った.遺伝子検査でHb Hazebrouck [β38(C4)Thr→Pro, ACC→CCC(β)]と診断した.その父もSpO2低値を認め精査したところ,Hb Hazebrouckと診断した.全症例共通して程度はさまざまだが貧血を呈し,SpO2低値を認めた.「症例1」と「症例2の母」ではEMA染色と赤血球膜band3抗体で封入体は斑状陽性となり,これらの結合物が膜障害をきたし脾臓摘出後も溶血をきたしているものと考えられた.

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