日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
IST不応の小児最重症再生不良性貧血に対する臍帯血移植例
三谷 友一関 正史鬼澤 真実日高 もえ藤村 純也樋渡 光輝滝田 順子
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2019 年 56 巻 3 号 p. 338-342

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抄録

HLA一致同胞ドナー不在かつ免疫抑制療法(IST)不応例における治療選択は,最重症再生不良性貧血(VSAA)における課題である.造血器腫瘍性疾患の移植適応例において適合ドナーを得られない場合,臍帯血移植(CBT)は有力な選択肢の一つだが,再生不良性貧血(AA)に対するCBTの有効性はまだ明らかではない.我々は感染症を反復したIST不応のVSAAに対して,感染管理目的で早急な移植が必要と判断し,CBTを行った.移植前処置は,フルダラビン,メルファランと低線量全身放射線照射で行い,GVHD予防にタクロリムスとミコフェノール酸モフェチルを使用した.day 16に好中球の生着が得られ,合併症としてgrade Iの急性GVHD,血球貪食症候群,ウイルス性出血性膀胱炎を認めたが管理可能であった.VSAAに対するCBTは適合ドナーを得られない場合の治療選択肢になりうると考えられた.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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