2019 年 56 巻 3 号 p. 348-352
症例は9か月の男児.先天性無巨核球性血小板減少症に対して非血縁者間骨髄移植を行った.移植後速やかな造血回復が得られ,経時的なキメリズム解析ではday 91以降は完全キメラを達成した.Day 56頃より自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を発症し,PSL,免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)を開始したが効果がなく,輸血依存性が続いた.Day 69よりrituximab, day 102よりmTOR阻害薬everolimusを併用し,貧血は徐々に改善した.近年,小児造血細胞移植例においてステロイドやIVIGに不応なAIHAの合併が増加しており,rituximabやmTOR阻害薬を第一選択治療として投与するなど,治療アルゴリズムの再評価が必須と考えられた.