日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
縦隔原発胚細胞性腫瘍–悪性腫瘍症候群に対し造血細胞移植を施行した一例
中西 達郎佐藤 真穂塩見 和之野村 明孝石原 卓當山 千巌五百井 彩樋口 紘平清水 真理子澤田 明久安井 昌博松岡 圭子竹内 真臼井 規朗井上 雅美
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2019 年 56 巻 3 号 p. 353-357

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抄録

患者は14歳男性.発熱と腰痛を主訴に前医を受診した.前縦隔に胚細胞性腫瘍を認めたことに加え急性巨核芽球性白血病を合併していた.これらの稀な疾患を合併していることから,縦隔原発胚細胞性腫瘍―悪性腫瘍症候群と診断した.日本小児白血病リンパ腫研究グループ(以下,JPLSG)AML12 protocolに基づいて治療を開始し白血病は寛解となった.胚細胞性腫瘍の治療強化のため強化療法にシスプラチンを追加した.しかし強化療法2コース終了後に,白血病の骨髄再発をきたし,胚細胞性腫瘍の増大をきたし呼吸苦症状が出現した.追加治療のため当院へ転院した.胚細胞性腫瘍摘出術後,可及的速やかに造血細胞移植を施行した.しかし,移植後約1か月で白血病のCNSおよび骨髄再発をきたし,移植後117日で死亡した.この疾患に対する症例の蓄積により,より有効な治療方法の確立が望まれる.

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© 2019 日本小児血液・がん学会
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