【背景】白血病を中心に,思春期・若年成人(Adolescents and Young Adults; AYA)世代のがん治療における小児科の優位性が示されてきたことに伴い,小児期と成人期の間にあたる彼らが小児科で治療される機会は増えてきている.しかし,この年代の患者と関わる上で小児科スタッフが抱える問題について,まとまった報告はない.【目的】中高生以上のがん患者と関わる小児科スタッフたちの現状を把握し,課題を整理する.【方法】総合病院小児科あるいは小児専門病院,計6施設で,中高生以上のがん患者と日常的に関わる機会のある多職種スタッフ(医師,看護師,薬剤師,院内学級教師など)を対象として,中高生以上のがん患者との関わり等について質問紙調査を実施した.【結果】計93名のスタッフから回答を得た.医師よりも他職種のほうが患者との関わり方に難しさを実感しており,特に心の問題やライフイベントに関する問題が難しいと回答した者が多かった.また,妊孕性に関する説明は施設間で勧奨度に相違があった.【結語】中高生以上のがん患者を小児科で診療する上で,病院スタッフが様々な問題を抱えていることが分かった.今後小児科で思春期・若年成人世代のがん患者の診療機会が増加することが見込まれる中,多職種・多施設間での更なる情報共有により,患者が安心して闘病生活を送れるよう心理社会的課題などに対するサポート体制の充実が望まれる.