日本小児血液・がん学会雑誌
Online ISSN : 2189-5384
Print ISSN : 2187-011X
ISSN-L : 2187-011X
教育セッション1: AML
日本における小児急性骨髄性白血病治療の歴史と現状,そして克服すべき課題について
盛武 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 57 巻 3 号 p. 240-250

詳細
抄録

小児白血病における急性骨髄性白血病(AML)の頻度は約25%とされ,日本では毎年約180例が新規に診断される.そして急性前骨髄球性白血病(APL),ダウン症関連骨髄性白血病(ML-DS),これら以外に分けて治療を行う.APLは抗がん剤にレチノイン酸を併用することにより安全な治療が可能となったが,三酸化ヒ素,ゲムツズマブ・オゾガマイシンの導入により晩期合併症の回避に加えてさらなる治療成績向上が期待できる.ML-DSは毒性を考慮し強度を弱めた化学療法により一定の治療成績は担保されるが,再発難治例の予後は著しく不良で初発治療の最適化が求められる.そこで,フローサイトメトリーとGATA1遺伝子変異を利用した微小残存病変検出による層別化が最適化に繋がることが期待されている.上記2つを除いたAMLは,染色体・遺伝子解析結果および初期治療反応性に基づくリスク分類により3群の層別化治療を行うが,再発難治例の予後改善が大きな問題である.さらなる成績向上のためには既存薬剤による治療では限界があり,近年成人に保険適用となったFLT3阻害薬をはじめとする新規薬剤の導入が必須である.

著者関連情報
© 2020 日本小児血液・がん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top