日本小児血液・がん学会雑誌
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症例報告
ランゲルハンス細胞組織球症との鑑別を要した播種性BCG感染症を合併したIFN-γR1部分欠損症
原田 瑞生久保 暢大高地 貴行岩渕 晴子今村 勝齋藤 昭彦梅津 哉山中 崇之今井 耕輔岡田 賢今井 千速
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2020 年 57 巻 3 号 p. 309-313

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抄録

症例は9カ月男児.繰り返す発熱,腋窩リンパ節腫大,全身の膿疱性皮疹を主訴に当院に紹介された.当初,前頭骨の骨融解像,臨床像,sIL-2R異常高値からランゲルハンス組織球症との鑑別を要し,皮膚生検を施行したが確定診断に至らず,腋窩リンパ節生検を施行した.生検組織からBCG菌が同定され,播種性BCG感染症と診断した.皮膚生検ではBCG菌は検出されず,BCG菌への過敏性反応による結核疹と考えられた.重症細菌感染,ウイルス感染の既往はなく,メンデル遺伝型マイコバクテリア易感染症を疑い精査した結果,IFNGR1遺伝子の既知のde-novoヘテロ変異が同定され,IFN-γR1部分欠損症と診断した.抗結核薬イソニアジド,リファンピシンの2剤による治療で症状は速やかに軽快した.18カ月間内服を継続し,終了後半年の現在も再燃なく経過している.ランゲルハンス組織球症として非典型的な皮疹や経過の場合にはBCG感染症を考える必要がある.

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© 2020 日本小児血液・がん学会
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