2020 年 57 巻 5 号 p. 403-407
血尿,意識障害を主訴に来院した11歳女児.画像検査にて膀胱内腫瘍を確認し,緊急で経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行した症例を経験した.腫瘍表面は赤色調で,腫瘍の一部から噴水状に出血していた.止血を確認し手術を終了し,術後にInflammatory myofibroblastic tumor (IMT) と判明した.再発が疑われたため,追加で膀胱部分切除術を施行した.IMTは予後良好な疾患とされていたが,再発浸潤を認めることもあり中間良悪性腫瘍に分類されている.小児期に発症する膀胱腫瘍は稀だが,予後不良である横紋筋肉腫は鑑別する必要がある.膀胱IMTと判明した場合治療は摘出術が原則であり,早期に再発するため注意深い観察が必要である.